医療技術は本物なのになぜ選ばれない?看護師が敬遠するクリニックの3つの特徴

「また応募が来なかった…」その悩み、実は採用ページに原因があるかもしれません
求人を出しても、なかなか応募が来ない。やっと来たと思ったら、面接で辞退される。採用できても、すぐに辞めてしまう——。
こんな悩みを抱えていませんか?
院長先生、あなたのクリニックの医療技術や診療への姿勢は、きっと本物だと思います。それでも、なぜか「選ばれない」現実に、頭を抱えている方は少なくありません。
私自身も看護師として複数のクリニックで働き、保健師として地域医療に携わってきました。そして今、医療系ウェブデザインの仕事をする中で、「採用がうまくいかない」クリニックと「スタッフが集まるクリニック」の決定的な違いを、何度も目の当たりにしてきました。
2026年6月には診療報酬改定が施行され、賃上げへの期待が高まっています。しかしその一方で、処遇改善が不十分なクリニックからは人材が流出し、条件の良い医療機関へと移動が加速するとも言われています。この流れは、採用の「格差」をさらに広げる可能性があります。
「求人票を出しているのに来ない」のは、求人媒体の問題ではなく、あなたのクリニックの”見せ方”の問題かもしれません。
今回は、看護師の目線から見た「選ばれないクリニックの3つの共通点」をお伝えします。どうか、最後まで読んでいただければと思います。
問題の本質:看護師は「職場の雰囲気」を求人票ではなく、ネットで判断している
少し前まで、求人といえば「ナース専科」や「ジョブメドレー」などの求人媒体に登録し、給与や勤務時間を書けばある程度の応募が来ていました。しかし今は、状況が大きく変わっています。
看護師が転職を考えるとき、まず何をするか知っていますか?
答えは、「そのクリニックのホームページを検索する」です。
求人媒体で気になるクリニックを見つけたら、名前でGoogle検索して公式サイトを確認する。インスタグラムやGoogleマップのクチコミも見る。そして「ここで働けるかどうか」を、応募前に自分なりに判断します。
つまり、あなたのクリニックのウェブ上の印象が、採用の入口になっているのです。いくら求人媒体にお金をかけても、ホームページが古かったり、スタッフの顔が見えなかったりすると、それだけで「敬遠リスト」に入ってしまいます。
原因① ホームページに「スタッフの顔と声」が見えない
私が看護師として転職活動をしていたとき、真っ先に確認したのはスタッフ紹介ページでした。院長の写真と略歴だけが載っていて、看護師やスタッフの顔が一切ない——そういうクリニックは、正直に言うと「応募する気が薄れる」のです。
理由は単純です。「どんな人が働いているのかわからない職場に飛び込む勇気が出ない」から。
医療現場は人間関係がダイレクトに仕事の質に影響します。だからこそ、スタッフ候補者は「この職場の人たちと合えるか」を何より気にしています。
「スタッフの顔が見えない職場は、看護師から見ると”ブラックボックス”に映っています。」
ホームページにスタッフ紹介ページを作り、写真と一言コメントを掲載するだけで、応募のハードルは大きく下がります。「院長のメッセージ」だけでなく、「スタッフからのメッセージ」を加えることが重要です。
具体的にやること
- スタッフ全員(または代表的なメンバー)の顔写真と、一言紹介を掲載する
- 「入職前に不安だったこと」「今の仕事のやりがい」など、転職者が気になるリアルな声を入れる
- 写真は自然光で撮ったナチュラルなものが好印象(過度な加工は逆効果)
原因② 「働き方」の情報が少なすぎる
求人媒体には「給与:月給○○万円〜」「勤務時間:9時〜18時」と書いてあっても、それだけでは看護師は動きません。
保健師として産業保健の現場にいた頃、スタッフから転職相談を受けることがよくありました。そのとき多くの人が口にしたのが、「次の職場では残業がどれくらいあるのか、ちゃんと知ってから決めたい」という言葉でした。
給与や勤務時間は「最低条件」に過ぎません。それ以上に知りたいのは、
- 実際の残業時間はどれくらいか
- 有給休暇は取れているか
- 育児中のスタッフはいるか(時短勤務は可能か)
- 院長や先輩スタッフとの関係はどうか
といった「リアルな情報」です。
「条件だけでは動かない。看護師が知りたいのは、そのクリニックの”空気感”です。」
ホームページやSNSを通じて、日常の職場風景を発信することが有効です。スタッフの誕生日をお祝いしている写真、朝礼の様子、季節ごとの行事——そういった「普通のこと」が、求職者に安心感を与えます。
具体的にやること
- 採用ページに「1日の仕事の流れ」をタイムライン形式で掲載する
- 「先輩スタッフインタビュー」を1〜2本作成し、実際の働き方を紹介する
- Instagramやブログで、職場の日常をゆるく発信する(週1〜2回でOK)
原因③ 採用ページが「院長の自己紹介」で終わっている
「院長の経歴が素晴らしい」「最新の医療機器を導入している」——こうした情報は大切ですが、採用ページとしては不十分です。
私が医療系ウェブデザインの仕事をしていて、一番多く感じる課題がここです。クリニックのホームページは「患者向けの情報」で作られていて、「スタッフ候補向けのメッセージ」がほとんどないケースが非常に多いのです。
患者さんに選んでもらうための情報と、看護師に選んでもらうための情報は、まったく別物です。患者さんは「どんな治療が受けられるか」を見ています。でも看護師候補者は「ここで働いたら、自分はどう成長できるか」「どんな院長・職場環境か」を見ています。
「採用ページは、院長の実績紹介の場ではなく、スタッフ候補へのラブレターです。」
院長先生が日々どんな思いで診療に向き合っているか、スタッフとどう関わりたいと思っているか——そういった「人間としての院長」を伝えることが、共感を生みます。
具体的にやること
- 採用ページに「院長からスタッフへのメッセージ」を載せる(資格・経歴ではなく、想いを語る文章)
- 「こんな人と一緒に働きたい」という理想のスタッフ像を、具体的に書く
- 「入職後のサポート体制」「研修の有無」など、成長できる環境を明示する
解決方法:採用力を上げる「採用専用ページ」を作ろう
ここまで3つの原因をお伝えしましたが、共通しているのは「ウェブ上の情報で、求職者に安心感と共感を与えられていない」ということです。
では、どうすればいいか。答えはシンプルで、「採用に特化したページ」をホームページの中に作ることです。
患者向けのホームページとは別に、求職者が知りたい情報を一箇所にまとめた「採用ページ」を設けるだけで、応募の質と量が変わります。
私自身も、あるクリニックのホームページリニューアルをお手伝いした際、採用ページを新設したことで、3ヶ月以内に看護師2名の採用が実現した例があります。それまでは半年以上採用できていなかったクリニックです。ページの内容は、スタッフ紹介・1日の仕事の流れ・院長メッセージ・よくある質問——この4つだけでした。
「採用力は、医療の質だけでなく、情報発信の質で決まる時代です。」
求人媒体への掲載費用を見直す前に、まず自分のクリニックのホームページを「求職者の目線」で一度見直してみてください。
今日からできる具体アクション
大がかりなリニューアルは必要ありません。まず今日から取り組めることを3つ挙げます。
アクション1:自分のクリニックのホームページを「求職者として」見てみる
院長先生ご自身がはじめて訪問した求職者のつもりで、ホームページを開いてみてください。「ここで働きたいと思えるか」「スタッフの雰囲気が伝わるか」を確認しましょう。気になった点をメモするだけでOKです。
アクション2:スタッフに一言コメントをもらう
「入職してよかったこと」「この職場の好きなところ」を、今いるスタッフに一言ずつ聞いてみてください。それをホームページに掲載するだけで、グッと採用力が上がります。写真も一枚撮らせてもらえると、さらに効果的です。
アクション3:採用ページに「よくある質問」を作る
「残業はありますか?」「未経験でも大丈夫ですか?」「育休・産休は取れますか?」——こういった質問に、正直に答えるFAQを採用ページに載せましょう。隠すより、誠実に答える方が信頼されます。
まとめ
採用がうまくいかない原因は、給与や待遇だけではありません。看護師をはじめとする医療スタッフは、今やホームページやSNSで「職場の空気感」を事前にチェックして応募先を決めています。
今回ご紹介した3つの共通点——「スタッフの顔と声が見えない」「働き方の情報が少ない」「採用ページが院長の自己紹介で終わっている」——のどれかに心当たりがある先生は、ぜひ今日から少しずつ改善してみてください。
2026年6月の診療報酬改定で、医療業界の採用競争はさらに激しくなります。しかしそれは同時に、情報発信を整えたクリニックにとっては「チャンス」でもあります。
スタッフに選ばれるクリニックには、必ず「伝える力」があります。技術や想いがどれほど素晴らしくても、それが伝わらなければ意味がありません。ウェブを通じて、あなたのクリニックの魅力を正しく届けていきましょう。
まずは小さな一歩から。きっと変化は起きます。
